2024/02/05 00:02

この頃(2022年)、冬野菜は比較的失敗率が減り秀品率が上がってきていたので(と言いつつもプロの農家には全く及ばないのですが)、少し精神面で安定していきました。

ちほさんもだいぶ落ち着きはじめていました。ちほさんの回復は私にとっては何よりで、日々海のように波打ちながらも回復へと一歩一歩進んでいっておりました。

(イベントで使用しているポイントカード用自作スタンプ)

育てることと届ける事

これまでの丸3年間、畑や野菜、土に向き合いすぎて
須山農園や近所の方以外に会ったり、農園の外へ足を踏み出することはほとんどありませんでした。

それもあって栽培レベルが少しずつ上がっていたんだろうなと思います。

でも、2021年終わり頃から
「何のために野菜を育てているんだろう?」
「何で数字に追われてるんだろう?」と
思うようになってきたのです。

スーパーの産直コーナーに置けば、いつの間にか誰かが買ってくれてて、買ってくれなかったものは残ってしまいます。

残った野菜は自分たちで食べたり
残りすぎた場合は畑に返したりするのです。

「産直コーナーに置いておけば誰が買ってくれて、銀行口座にスーパーから売上が振り込まれる」

そんな日々が私にとってどうしてもモゾモゾするのです。

もちろんSNSで美味しかったとコメントくれる方もいらっしゃったので
すごく元気を頂いてたんですが

それでも、お金稼ぎのためだけの農業になっちゃってるんじゃないか?など思ったりもしていました。

お金を稼ぐことは悪くはないし、生活する上でも必要なんだけれど、そこへの執着みたいなのが本当になくて、それよりも誰のために何のための仕事なんだろうと考えてしまうようです。

そんな2021年の年末
さぁ来年(2022年就農4年目)は机やテントをどっかに出して、例えスタートは0人でもいいから自分の手で直接野菜を渡す時間を作るんだー!
と思っていた矢先

松江のとある書店の店長から
「おでん大根が美味しかったので、出店して野菜を販売してくれないか?」
との依頼がありました。

直接お願いしたわけでもなかったのに、こんな事があるんだなぁと、嬉し驚き感激でした。しかもテントも机も貸してくれるとのことでした。
願ったりかなったりでした。

土曜日の11時~14時頃に出店することになり、結局その年は年間19回以上出店していました。

その結果、お客様と会話もできたり、過程を伝えることもできたのです。
そして何より、毎週のように買いに来てくださる方がいて

あぁ、こういうお客様が買ってくれてて、楽しんでくれるから、産直コーナーの野菜も売れていたりするんだなぁと分かっていくのでした。

これが農作業をする行為とお客さんに販売する行為がリンクする瞬間で、地に足着くような感覚を少しずつ覚えていきました。


やっとキュウリ栽培がうまくいった

野菜栽培についてですが、ようやっとこの年キュウリの栽培がうまくいきます。3年間積み上げてきた経験が何とか結びつく瞬間でもありました。

そして、この年から露地エダマメとハウスとうもろこしの栽培面積を少し増やしてスタートします。
初作だったので試行錯誤の連続でかなりの手間をかけてしまったものの、思っていた以上に良い出来になりました。

イベントとの相性も良く、またとれたてだからこそ美味しいこともあり、須山農園にとっての野菜の軸についてより深く考えるきっかけにもなっていきました。

そんな勢いに乗ってきた2022年7月

新型コロナの感染により、家族5人中3人がかかってしまうことに。

幸いにも私や仲間2人は感染から逃れたものの、収穫から出荷までの流れを4~5人でやっていたところを3人でまわすことになり、さらに梅干し加工やら家族への料理準備や感染対策などなどてんてこ舞いでした。

よく回したなと自分でも思うくらいでしたが、その月須山農園の過去最高の売り上げをたたき出していました。

記憶はほぼございません(笑)


就農5年目2023年に向けて

2022年柿シーズンからプラス2人バイト雇用開始と2023年春から正規雇用が一人増えることが11月ごろには決定していました。

まだ自分のキャパ、須山農園のキャパがどうのこうのを考えることはなく

一緒に働きたいと思う人がいるなら一緒に働けるように仕事を生み出していこう!のスタンスだったので
不安とかよりもみんなとどんな仕事を生み出していこうかなぁ?みたいな結構楽観的な状態でした。
そして、干し柿作業が進み2023年を迎えることとなります。

5年目へつづく。

(この年10月大阪市立大学で講演させていただき、貴重な経験をさせていただきました。)